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1曲の録音の変遷

クラシック音楽を楽しむ一つに
特定の1曲に関しての録音に関する時代的な移り変わりを楽しむというのがある。

ディスクを録音の時系列に並べてみると、
エポックメイキングな録音が出、それに従なる録音が出て、
さらにそれに反体制的な録音が行われる・・・
などと並べられる。

それを聞くと、演奏者がどう考えてこういう演奏をしたのかというのか分かる(気がする)。

まあ、クラシック好きというなら、
好きな曲の「録音時系列マップ」が何枚も、
あるいは何十枚、何百枚も頭の中に入っているものなのだろう。




なぜ、今更こんな当たり前なことを書いたかというと、
ここ数日で、改めてこの「録音時系列マップ」を作り直した曲がある。

VivaldiのLe Quattro Stagioniです。

いや、別にこの有名曲の録音の流れを無視していたわけじゃないんだけど、
改めて頭の中で整理して、並べなおすこともやってなかった訳で。

レコード芸術8月号の「レコード芸術選定・世界遺産ディスク」で
同曲のHarnoncourt指揮のが入っていて、
CD棚を漁って聞きなおしたのが始まり。



Le Quattro Stagioniの録音史というと、
なんといっても、I Musici & Ayo '59 が歴史の最初。

特に日本では、この録音がこの曲を広めたと言っても問題ない。

でも色んな録音を聞くと、
この歴史的マイルストーンのこの1枚も、
いかにも風化しているように感じる。

レコード芸術8月号では、Harnoncourt盤を挙げたが、
私としては、Biondi盤や
強い賛否両論があるMutter盤とかがお勧めになる。



で、改めてLe Quattro Stagioniの「録音時系列マップ」を考えようとしたのだが、
同曲は多数の録音が色んな方向に突出しており、
私が持っているディスク(10枚ほどですが)では
この曲の録音時系列マップを埋められない。

私がこの曲の録音史を語るには、
最低、あと10枚は聞いてからにしたい。

1曲に対して、何枚のディスクを聞けばその曲を語れるようになるかは
曲によってもかなり違うが、
このLe Quattro Stagioniは10枚のディスクでは
まだまだひよっこだろうと思う。




ちと、Le Quattro Stagioniのディスクを久しぶりに買いましょうか。





P.S.
普段は私は非常に嫌うのですが
気分が向いて、文中の固有名詞を原題のアルファベットのまま書いてみました。
でも、これでやめておきます。
やはり日本語は、アルファベットを安易に入れない文章が美しいです。
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# by classicalmusicbar | 2008-07-31 02:52

弦楽四重奏団

ここ数日、アマデウス四重奏団、ラサール四重奏団、ハーゲン四重奏団
といったあたりの弦楽四重奏団のディスクを聞いています。
私の中では、弦楽四重奏のディスクというと
アルバンベルク弦楽四重奏団がアブソリュート・スタンダードなのですが、
最近、手持ちの他の四重奏団のディスクを聞いてみようという気になりました。

改めて聞いてみて
アルバンベルクSQだけじゃなく、他のもなかなか良いよねと。

アマデウスSQ、ラサールSQ、80年代に解散した四重奏団ですが、
アルバンベルクSQ以前の古き良き時代の弦楽四重奏の音も魅力的です。
アマデウスSQの昔風のヨーロッパ的優雅さは
アルバンベルクSQの現代的演奏に聞きなじんだ私には、妙に新鮮に聞こえました。

弦楽器の製作者では
ストラディバリウスよりもアマティの方が好きという私には、
全員がアマティを持っているというラサールSQは気になるSQであったのですが、
その割にはそんなにディスクを聞き込んでいませんでした。
いえ、ラサールSQのシェーンベルク「浄夜」は愛聴しているのですが、
それ以外のディスクは眠らせたままにしていました。
アメリカのSQらしく、現代的王道SQの礎のような音がしますね。

こう考えると、やはり第二次世界大戦直後あたりに設立されたSQって
素晴らしいのが多いですよね。
アマデウスSQ、ラサールSQのほかにも、スメタナSQ、ジュリアードSQ、イタリアSQなど
ある一時代の弦楽四重奏の音を築いたというSQがこんなにもありました。
アルバンベルクSQが解散した今、
現代の方が弦楽四重奏団はかなり希薄になってきているのではと憂います。

今後の未来を担う弦楽四重奏団といえば、
ジュリアードSQの様に代替わりで生き延びているのもありますが、
ハーゲンSQが一番手でしょうか?

そういえば、ハーゲンSQは9月に来日しますね。
行きたい気持ちはあるのですが、諸事情により難しいかもしれません。

でも、後になって後悔しそうなので、
無理してでも行った方が・・・良いのでしょうか?
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# by classicalmusicbar | 2008-07-13 19:05

「ゴルトベルク」じゃなくて「ゴールドベルグ」と呼ぶ世界

今日、行きつけのジャズバーに行って、
ジョン・ルイス&ミリヤナ・ルイス(ジョンの妻)が演奏する
J.S.バッハの「ゴールドベルグ変奏曲」を聞かせてもらいました。
いや、聞かせてもらったじゃなく、
ぜひ聞かせてくれと懇願しました。
今日、、無性にこのCDが聴きたくなって。

ジャズアーティストがクラシック曲をカヴァーすることはたまにある。
でも、そのほとんどが、J.S.バッハ。
キース・ジャレットと言い、ロン・カーターと言い、このジョン・ルイスも。

なぜジャズアーティストはバッハ好きばかりなのか?と問われると
明確な回答を出すのは難しいが、
一つ、無視できない存在がある。

クラシックピアニストのグレン・グールドである。

グールドは1932年にカナダのトロントで生まれ、
55年にゴールドベルグ変奏曲を録音して
一躍脚光を浴びた。
ヨーロッパのクラシック音楽教育を受けずに
アメリカ大陸で貫き通したアーティストである。

その常識離れした演奏は、
驚嘆で迎えられた多数の賞賛と、
こんなものはバッハではない、あるいはクラシック音楽ではないという強い否定とが渦巻いた。

グールドの音楽は山ほどのプロの評論があって
私ごときがここでそれに加わるつもりはないが、
ただ言えることは
グールドの演奏については、
聞き手に賛成でも反対でも強く反応させるインスピレーションを持った音楽であったということ。
その強いインスピレーションはジャンルを超えて
ジャズアーティストを強く刺激した。

やっぱり、ジャズアーティストのバッハ演奏は
間違いなくグールドを起点にしている。
20世紀のクラシック界のバッハ解釈がカザルスを起点にしているように。
賛否両論はともかく、それだけグールドの「ゴールドベルグ」はインパクトがあった。

グールドを起点にしたアメリカ大陸的バッハ解釈というのは、
ジャズ界にも広がって
ヨーロッパのクラシック音楽的バッハ解釈とは異なる歴史を歩んだ。
そこには、「Goldberg」という単語を
「ゴルトベルク」ではなく、米語的に「ゴールドベルグ」と呼ぶ世界があった。

その「ゴールドベルグ」の世界、
頭の硬いクラシックファンには受け入れられるのだろうか?
強い非難をするクラシックファンも多いと思うのだが。

私はクラシック音楽ファンだけど、
「ゴールドベルグ」の世界を受け入れられる程度には
頭を柔らかくしていたい。
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# by classicalmusicbar | 2008-07-04 01:10

金魚鉢の水面

暗い部屋に金魚鉢が一つ。
金魚鉢には赤い金魚が一匹だけ。

金魚はまったく動かない。
それを見ている僕もまったく動かない。

その時間の停滞に耐え切れず僕が動く。

チープなアロマキャンドルに火を点し、
チッコリーニ演奏のサティのCDを流す。

わずかに時間が流れ始める。

僕はただ為す術も無く金魚鉢の水面を見つめる。
金魚がわずかに動いた気がした。

金魚が作り出した小さな波と
サティのピアノの音と
この空間の静寂が同調する。

サティの音が時間の過ぎ行く速度を遅める。

そして僕は金魚鉢の水面に囚われて。
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# by classicalmusicbar | 2008-07-01 22:54

JSバッハの無限回廊の想い出

久しぶりにブログを書いてみました。
頻繁に更新はしないと思いますが、
気の向くままに書く文をお楽しみいただけたら・・・
いただけるでしょうか?

このブログのタイトルですが
「クラシック音楽回廊」
とさせていただきました。
「回廊」とは色々なイメージがありますが、
私の中では特にゴシック調の建物の周りにある廊下という印象があります。
そしてなぜか分かりませんが、
この言葉からバロック調の音楽、
特にJSバッハ的対位法っぽい音楽を頭に浮かべます。
なぜこのブログのタイトルをこれにしたかと言えば、
ブログを作ろうと思い立った今、
聞いているのがJSバッハの「フランス組曲」だからで、
それに触発されて頭に浮かんだ言葉です。

小さい頃からクラシック音楽を聴いていた訳ではない私が
最初にバッハの音楽を聞いたのは高校生のとき、
このフランス組曲でした。
学生時代、私はコンピュータゲーム好きで
ゲームボーイの「テトリス」をやっていたら、
「この音楽、バッハのフランス組曲だよね?」
と言ってきた女の子がいました。
それがきっかけで、CDを借りたりして
初めてバッハの世界を知ったのですが、
それ以来、多数のバッハの曲を聴いた今でも
バッハと言えば、最初のフランス組曲の印象が強く残っています。

「フランス組曲だよね?」と言った娘とは
その後CDを借りたりして
初めて女の子としゃべったり仲良くしたのですが、
かといって当時の私はそれ以上仲になることもならず、
進学した学校も異なるため
それ以来、音信も途絶えました。

20年近くが過ぎて、久しぶりにあの娘のことを思い出したけど、
今、どうしているかな?
多分、もう子供はいるんだろうな。
クラシック好きな家庭の娘らしかったけど、
今、私がこんなにクラシック音楽にはまっていると知ったら、
また色んな話が出来るかもしれない。

でも、そういうのは想い出だけで、
探したり、連絡したりなんてしない方がいい。
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# by classicalmusicbar | 2008-06-26 01:20