「ゴルトベルク」じゃなくて「ゴールドベルグ」と呼ぶ世界

今日、行きつけのジャズバーに行って、
ジョン・ルイス&ミリヤナ・ルイス(ジョンの妻)が演奏する
J.S.バッハの「ゴールドベルグ変奏曲」を聞かせてもらいました。
いや、聞かせてもらったじゃなく、
ぜひ聞かせてくれと懇願しました。
今日、、無性にこのCDが聴きたくなって。

ジャズアーティストがクラシック曲をカヴァーすることはたまにある。
でも、そのほとんどが、J.S.バッハ。
キース・ジャレットと言い、ロン・カーターと言い、このジョン・ルイスも。

なぜジャズアーティストはバッハ好きばかりなのか?と問われると
明確な回答を出すのは難しいが、
一つ、無視できない存在がある。

クラシックピアニストのグレン・グールドである。

グールドは1932年にカナダのトロントで生まれ、
55年にゴールドベルグ変奏曲を録音して
一躍脚光を浴びた。
ヨーロッパのクラシック音楽教育を受けずに
アメリカ大陸で貫き通したアーティストである。

その常識離れした演奏は、
驚嘆で迎えられた多数の賞賛と、
こんなものはバッハではない、あるいはクラシック音楽ではないという強い否定とが渦巻いた。

グールドの音楽は山ほどのプロの評論があって
私ごときがここでそれに加わるつもりはないが、
ただ言えることは
グールドの演奏については、
聞き手に賛成でも反対でも強く反応させるインスピレーションを持った音楽であったということ。
その強いインスピレーションはジャンルを超えて
ジャズアーティストを強く刺激した。

やっぱり、ジャズアーティストのバッハ演奏は
間違いなくグールドを起点にしている。
20世紀のクラシック界のバッハ解釈がカザルスを起点にしているように。
賛否両論はともかく、それだけグールドの「ゴールドベルグ」はインパクトがあった。

グールドを起点にしたアメリカ大陸的バッハ解釈というのは、
ジャズ界にも広がって
ヨーロッパのクラシック音楽的バッハ解釈とは異なる歴史を歩んだ。
そこには、「Goldberg」という単語を
「ゴルトベルク」ではなく、米語的に「ゴールドベルグ」と呼ぶ世界があった。

その「ゴールドベルグ」の世界、
頭の硬いクラシックファンには受け入れられるのだろうか?
強い非難をするクラシックファンも多いと思うのだが。

私はクラシック音楽ファンだけど、
「ゴールドベルグ」の世界を受け入れられる程度には
頭を柔らかくしていたい。
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by classicalmusicbar | 2008-07-04 01:10
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